作者の米澤穂信さんが大学生生活を送ったという、石川県金沢市を舞台としたパラレルワールドミステリ。
20代前半の悩みの中にいるあなたに読んでほしい!
『ボトルネック』のあらすじ
亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。(新潮社「ボトルネック-米澤穂信/著」より)
『ボトルネック』の感想
作者の米澤穂信さんが大学生活を送ったという、石川県金沢市を舞台としたパラレルワールドミステリ。
自分の存在を見出していく作品であり、自分は必要な人間(ボルトネック)なのかを問う作品です。
読み終わったとき、なんとも言えない気持ちになりました。少し考えさせられる作品なので、沈んだ気持ち読むのはおすすめできません。
しかし、若い頃(20代前半)にぜひ読んでほしいと思います。
私も20代でこの作品を読みましたが、その時にしか感じることができない気持ちってありますよね。
自分の存在価値に悩むのは若い頃にありがちな悩みですが、それに悩むことができるのも若いうちだけではないでしょうか。
年代を重ねるとそういった気持ちにもならず、ただ年を重ねる毎日になっていくだけなのだと思います。

一応ミステリとして謎解き要素も含まれています。ミステリというよりは青春小説の要素が強い作品でしょう。
謎解きは物語のアクセント程度なので、謎解きをしようと思わずに読む方が楽しめると思います。
誰もが思ったもうひとつの世界を、米澤さん流に描いていますが、なかなかの皮肉を込めていると思います。
良い方向へ考えてしまうパラレルワールドについてですが、決して良いものだけではない、ということをこの本から学びました。
自分自身について一度考えたい人におすすめです!