こんな設定は他にはない!このミス大賞・隠し玉作品のユーモア・サイキック・ミステリです。
『愚者のスプーンは曲がる』のあらすじ
ある日突然、銃を所持した超能力者(らしい)二人組に拉致された町田瞬。彼らは組織の命令で、危険な能力を持つ(らしい)瞬を殺しに来たのだという。その能力とは、超能力の「無効化」。つまり、瞬の前では超能力者による超常現象は発生しない(らしい)――。なんとか命拾いした瞬は、代わりに超能力者による組織『超現象調査機構』で働くことになり、やがて奇怪な事件に巻き込まれていく……。(宝島CHANNEL「愚者のスプーンは曲がる-桐山徹也/著」より)
『愚者のスプーンは曲がる』の感想
まず設定が面白い!超能力を題材にした作品は珍しくないですが、この小説は一味違います。
主人公・瞬は“超能力を消す”という超能力を持っています。
つまり瞬の前では超能力は使えない・・・ということは本当にその人物(瞬も含めて)が超能力を使えるかどうかがわからないんですよね!
だから超能力者がいっぱい出てくる話なのに、超常現象は一切起こらないんです。
瞬も「本当に超能力はあるのか、それとも騙されているのか」と疑問に思いながら時が進みます。
そして読んでいる私たちにも最後までソレはわかりません。なるほど、よく考えた設定だな~と思いました。
その「超能力はあるの?ドッキリなの?」という疑問がワクワク感につながり、最後までどんどんと読み進めてしまいました。
さらにところどころでクスっと笑えるようなユーモアも交えているので、テンポよく進めていけるのも良いですね◎
本格的な推理小説とかではないので、ミステリとしてのトリック解明や謎解きに期待はしない方が良いですが、その分誰でも楽しめる作品だと思います。
ただ、脇役レベルの登場人物が多いのが難点でした。「これ誰だっけ?」と前のページをめくることも多かったですね。