正反対の二人は本当に仲良し?それとも…?
読めば読むほどに、二人の関係性がうらやましくなってきました。
『ホリー・ガーデン』のあらすじ
果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる……。心洗われる長編小説。(新潮社「ホリー・ガーデン-江國香織/著」書籍詳細より)
『ホリー・ガーデン』の感想
果歩と静枝。幼稚園のころから社会人になってもずっと続いている二人の友情のお話です。
初めてこの本を読んだとき、私は「この二人は仲良しじゃない」と思いました。
もっとこうしたらいいのに、あれは辞めたらいいのに、自分ならそんなことしない。
そんな二人の心の内が赤裸々に書かれています。あくまで心の内で、口には出さないんです。
ふわふわして愛嬌があってモテる果歩。
真面目で努力家で夢を叶えている静枝。
正反対の二人ですが、どちらにも共感できる部分がたくさんあり、何回も読みました。
すっきりしなくて、心の奥の部分に引っかかるような、そんなお話だと感じていました。
何度か読んだ今、この正反対の二人はほんとに仲良しだなーと思っています。
だって仕事をしてても恋人といても、お互いの事を思い出しているんです。静枝ならきっとこうだろうな、とか、果歩にもこんなふうに幸せが来ればいいのに、とか。
そんな風に思ってくれる人、思える人がいるのってうらやましいなって思います。
柔軟性のある生き方の果歩が羨ましい静枝。
人生が順調な静枝が羨ましい果歩。
でもそれぞれ自分の生き方が間違っているとは思わない。だって頑張って生きてきたから。
毎日の生活・仕事・恋愛を頑張っている二人が、
それは一旦置いておいて、お茶でもしよっか。私の人生は今こんな感じだよ。
なんて話して、またそれぞれ頑張って生きていく。
「本当の友情ってこういうものなのかなぁ、いいなぁ」とちょっと暖かい目で静枝と果歩を見守れるようになった今、ほんわかと前向きになれる物語に私自身が救われています。
