人間の弱さが見えるダークミステリ。つい『完璧な母親』を目指してしまうあなたに読んでほしい1冊。
『完璧な母親』のあらすじ
最愛の息子が池で溺死。母親は同じ誕生日に子どもを産み直し、死んだ息子を再び育て始めた。
そんな母親に育てられた波琉子のもとに、ある男性が訪ねてくる。
そこから新たに判明する新事実とは・・・。
『完璧な母親』の感想
人間の弱い所やダークな部分が見えるホラーの要素を兼ね備えたミステリですね。(幽霊は出てきません)
最愛の息子を事故で亡くし、同じ誕生日に息子を産み直した狂気の母親と、そんな母親に兄の身代わりとして育てられた女性がメインの登場人物です。
途中で母親に虐待されて育った男性が登場し、そこから物語がミステリっぽくなっていきます。
読んだあとの率直な感想は「色々中途半端だなぁ・・・」ということ。読んでいる最中はすごく面白かったのですが、読み終わったあとには消化不良感が残りました。
この本のカギとなる物のひとつは『狂気』だと思うのですが、その狂気が物足りない。もっと狂気じみた所が見えないと小説として面白くないなと思いました。
ただこの中途半端で読了感の悪さが、ただのミステリ小説ではない今作の魅力なんだと思います。
親と子の関係性や、過去の過ちに対する赦し、人の弱さなども問いかけてくる作品だからこそ、ミステリと一言では語れない物語になっているんでしょう。
ちなみに、私は初めてまさきとしかさんの本を読みました。失礼ながらこの本を読むまで存じ上げませんでした(汗)
ご本人のブログを拝見したら女性の方。なんとなく男性かなと思って読んだので意外ですね。
まさきさん自身で書いているブログだと思うんですが、作家の方が自分で書いているのって素が見えて良いですよね!好感度UPです。
世間の評価
あまり後味が良くない小説のわりに評価は悪くないですね。ミステリであってミステリでない不幸な物語が支持を得ているようです。
ネット上にはあまりレビューが載っていないので、まだ読んだ人が少ない小説だと思います。
『完璧な母親』こんな人におすすめ
- 後味の悪い小説を読みたい
- ダークミステリが好き
- 人間の闇を描いたものが好き
- 子離れできない
- つい『完璧な母親』を目指してしまう