『屍人荘の殺人』に次ぐシリーズ第2作品目。
‟予知能力×クローズドサークル”の新しいミステリーを味わえ、ミステリー初心者からミステリーファンまで幅広く楽しめる1冊です。
※記事中にはネタバレボタンが登場します。ネタバレあり派の人は押してチェックしてくださいね。ネタバレなし派の人は絶対押しちゃダメです!
『魔眼の匣の殺人』のあらすじ
その日、“魔眼の匣”を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。(東京創元社「魔眼の匣の殺人-今村昌弘/著」内容紹介より)
『魔眼の匣の殺人』の感想
デビュー作にしてミステリーランキングで3冠を達成、映画化も決定して話題になった「屍人荘の殺人」の続編ということで、発売前からかなり楽しみにしていました!
そんな期待大の状態で読み始めましたが、結論から言えば、その期待を裏切らない作品でした。
話は前作「屍人荘の殺人」から数カ月後、ミステリー好きの葉村と探偵少女・剣崎比留子が人里離れた場所にある、魔眼の匣と呼ばれる元・研究施設に足を運ぶところから始まります。
「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」
魔眼の匣の主・サキミがそう予言し、魔眼の匣に通じる橋が落ち、あっという間に恐怖のクローズドサークルの完成です。

葉村たちを含めて11名の登場人物が閉じ込められ、そこからは実際に事件が起きたり、葉村と比留子が事件解決に奮闘したり…というおきまりのミステリー展開がされます。
ただ、普通のクローズドサークルミステリーと違うのは、今作では‟予知能力”がカギとなること。
魔眼の匣の主・サキミ以外に、もう一人予知能力がある少女が登場します。予言者が二人いることがさらに事件を複雑にするのです。
絶対に人が死ぬと予言された状況で、実際に起きる明らかな殺人事件。
予言を信じる者と信じない者がいて、疑心暗鬼になる登場人物たちと、揺れ動く心理戦。
予言は本当に当たるのか、それとも、‟予言があるから人が死ぬ”のか・・・?
予知能力とクローズドサークルが合わさることで、新たなミステリーを味わうことができるのが魅力のひとつかな、と。
さらに見どころとして面白かったのは、犯人の動機。あぁ、これがつながるのか!とちょっと驚いたのと、少しだけ動機に納得していまいました。
そして犯人がわかったあとのラスト15ページで、さらに衝撃の事実が判明します。
私自身は全く予想していなかった展開で、思わず「えーーー?!」と声が出ました(笑)
また、前作「屍荘人の殺人」でも感じたことですが、やはり読者に優しいなぁというのが印象的。
登場人物の名前を整理して説明してくれたり、順を追った丁寧な推理シーンがあったりと、読者フォローが素晴らしい!
これならミステリー初心者も楽しめるし、ミステリーファンとしても読み応えがあるのではないでしょうか。
1作目ほどの‟想像しえなかった”展開や衝撃は少ないもののの、存分に楽しませてもらえたし、期待(プレッシャー)に応えてくれたと思います。
最後にはまた続きがあるような書き方がされていたので、第3弾を楽しみにしています。
シリーズ1作目『屍人荘の殺人』の感想・あらすじはこちらの記事へ