ミステリー好きにこそ読んでほしい!これまでに味わったことのない、新しいミステリーを体感してみてください。
『屍人荘の殺人』のあらすじ
神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。
たった一時間半で世界は一変した。
数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!(東京創元社「屍人荘の殺人-今村昌弘/著」より)
『屍人荘の殺人』の感想
2018年12月発売の雑誌ダ・ヴィンチを読んでいたら、『BOOK OF THE YEAR 2018』の特集の中で、小説ランキング9位に入賞していた今作。
デビュー作にして国内主要ミステリーランキングで3冠達成!(中略)ミステリー界の‟事件”と呼ばれた衝撃の逸作。(KADOKAWA出版「ダ・ヴィンチ」2019年1月号)
と書かれていたので、めっちゃ気になる!と思って衝動買いしたのですが…
読んで大正解!
想像していなかった奇抜な内容と展開で、夜中の2時半まで一気読みを余儀なくされました(笑)

物語はミステリー好きの大学生・葉村と葉村の先輩・明智、そして難事件をいくつも解決に導いてきたという探偵少女・剣崎が、ペンションで行われる映画研究部の合宿に参加する、というところから始まります。
まるでホームズとワトソンのようなコンビの葉村と明智、そして剣崎の3人はペンションへ向かうのですが、そこで思わぬ事態が起き、さらに殺人事件が…!
といった感じ。
最初は「あぁ、こんな感じの話なんだな。よくある定番ミステリーじゃん。」って読み始めたのに、どんどんとイメージが変わっていき、最終的には「こんなミステリー読んだことがない!」という衝撃を受けました。
名探偵役のキャラが謎解きをするようなミステリー
↓
ペンションや暗号が出てくるクローズドサークル
↓
?????????????????????
最初のホームズとワトソンの流れはどこ行った?という感じでした(笑)
何を言ってもネタバレになってしまう気がするけど…とにかく人気作家さんたちが絶賛する理由がよくわかります。

類を見ないような奇抜な内容(アイディア)に目がいきがちですが、謎解きという意味でのミステリーとしても、ちゃんと考えられて、かつ読者に優しいのが印象的。
例えば、10名ほどの登場人物の名前を作中でわかりやすく整理してくれたり、読者がトリックを解いて犯人を導き出すためのヒントや状況をちゃんと書いていてくれていたり・・・。
犯人がわかってしまうほどではないですが、私たち読者が一緒に謎を解いていけるよう(楽しんでいけるよう)に考えて書かれているのが嬉しかったですね。
だからこそ、作品にのめりこめたし、その世界に入り込めるほど面白いと感じることができました。
結構ページ数が多い本ですが、読み応え抜群であっという間に読めると思います。
ミステリー好きで、ミステリー小説はもう何十冊も読んでいるという人でも満足できる1冊。むしろミステリー好きにこそ読んでほしいなと思います。
【2019.2.20追記】
シリーズの続編として『魔眼の匣の殺人』が発売されました!ぜひあわせてチェックしてみてください。
屍人荘(しじんそう)の殺人 2019年映画化決定!
神木隆之介さん、浜辺美波さん、中村倫也さん出演で映画化されました。