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『すいかの匂い(江國香織)』の感想あらすじ / “あの夏”を思い出させてくれる短編集

すいかの匂い イメージ
管理人リナ
管理人リナ
こんにちは、リナです!今回は江國香織さんの『すいかの匂い』を極力ネタバレなしでご紹介します。

11人の少女たちの11の物語。誰もが持っている、無意識の奥にしまいこんだ“あの夏”を思い出させてくれる短編集です。

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『すいかの匂い』のあらすじ

あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。つい今しがたのことみたいに――バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。無防備に出遭ってしまい、心に織りこまれてしまった事ども。おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。(新潮社「すいかの匂い-江國香織 / 著」書籍詳細より

『すいかの匂い』の感想

11の話から成る短編集ですが、どの作品もひとつとして私自身が同じ経験をしたことのないものなのに、なぜか既視感のある出来事ばかりです。

それは蝉の声が鳴り響く田舎の町であったり、夏のひんやりとした夜であったり、知らない町の海であったり、読んでいるとそこにいた覚えがあるような気がしてきます。

管理人リナ
管理人リナ
江國香織さんは誰の記憶にもあるような、日常の些細な出来事をしっかり覚えていて丁寧に再現できる方なのかもしれませんね。

 

また、主人公の子供たちから見る大人の姿や友達に対する思いは複雑で、子供の頃感じていたの世の中に対する違和感を呼び起こします。

大人になると、子供に対しては明るく無邪気で”子供らしい”人格を勝手にイメージしがちですが、誰でも子供時代は必ずしも大人の思うような子供ではなかったのではないでしょうか。

子供ながらにズルいことや、誰かを憎く思う気持ち、諦めの感覚に憤り、そういったものが確かに小さな体の中にうずまいていて、それでもそれらを自分から封印して健全な子供であろうとしていたことを、そんな忘れていた引き出しをそっと開けるような本です。

あまり感傷的ではないドライな語り口が、逆に子供という存在をリアルに感じさせますね。

重苦しさや暗さはなく、淡々としたスタイリッシュな文体で書かれていて読みやすいです。

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