
児童文学マニアの希咲です!
2025年8月に発売される新刊児童文学やYA小説の情報をまとめました。
発売日順に並べているので、ぜひ参考にしてみてください。
※順次更新しています
※発売日は予定です
タトゥーママ
『タトゥーママ』
ジャクリーン・ウィルソン 作 ニック・シャラット 絵 小竹 由美子 訳
出版社:岩波書店(岩波少年文庫)
発売日:2025年8月16日
姉のスターと33歳の未婚の母マリゴールドとくらす10歳のドル。スターは面倒みきれないって怒るけど、全身にタトゥー、陽気でお酒好きなマリゴールドは、世界一すてきなお母さん。スターの父親ミッキーとの再会をきっかけに、3人の生活が変わってしまい……。子どもが親によせる、苦しくて切なくて愛おしい気持ちを描いた傑作。
岩波書店
涙の箱
『涙の箱』
ハン・ガン 作 / きむふな 訳
出版社:評論社
発売日:2025年8月18日
ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
評論社
ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。
モンスター・チャイルド
『モンスター・チャイルド』
イ・ジェムン 作 / 山岸由佳 訳 / スカイエマ 絵
出版社:評論社
発売日:2025年8月19日
わたしのなかの「モンスター(その子)」、モンスターに変異する少年。
この出会いがわたしを変える!突然変異腫瘍症候群(ミュータント・キャンサラス・シンドローム:MCS)――。
五~七歳のあいだに発症し、発作のあと“変異”が起こる病気。全身に毛が生え、体が大きくなり、力が数倍にも強くなることから、「モンスター・チャイルド・シンドローム(MCS)」とも呼ばれている。
小学6年生のハニと、2年生の弟・サンドゥルはMCSだ。ふたりは薬で発作をおさえ、周囲に病気のことを知られそうになるたび、引っ越しと転校を繰り返してきた。今回移り住んだのは、空気のきれいな田舎町。転校初日、ハニは同じくMCSの少年・ヨヌと出会う。ヨヌは病気を隠そうとせず、人前で変異を起こすヨヌに、ハニは戸惑いを覚える。
そして、ふたりは母親とともに、MCSの研究者として知られる名医が、町にひそかに開いたという病院を訪ねる。しかしその医師は、「MCSは病気ではない」と話す。ここは病院ではなく、「MCS自立トレーニングセンター」。変異遺伝子の所有者たちが自立できるように支えるための場所、そしてなにより大切なのは、「子どもたちが自分自身を愛せるようになること」だと。
これまでの医学的な常識をくつがえすような言葉に、ハニの母は反発するが、ハニの心は揺れていた。――「わたしは、わたしがにくい。わたしのなかには怪物がいるから。だから怪物があらわれないように、ぎゅうっとおしこめている」
MCSは本当に病気なのか? ヨヌはなぜ変異を隠さないのか?
ハニとヨヌの距離が少しずつ縮まり、謎があきらかになっていくなか、村の農場が何者かに襲われ、再びMCSの子どもたちに疑いの目が向けられる――。「子どもが子どもに、子どもが大人にすすめる本」として、韓国で10万部を突破!!
評論社
ミッドレッドの約束 アスタリット星国記2
『ミッドレッドの約束 アスタリット星国記2』
著者 日向 理恵子
出版社:角川書店(角川文庫)
発売日:2025年8月25日
「火狩りの王」著者が描く新たなファンタジー、第2弾。
出典:角川書店
写本士見習いのコボルたちが、ネバーブルーインクによって祖国の真実を書き記した後。アスタリット星国の元写本士だった少女・ニノホは、〈塵禍〉や戦争の被害に合った人々が暮らす避難キャンプで支援団の一員として活動していた。ある日、ニノホはひとりの少女から母親の形見のノートを渡される。日記と思われたその中には、何かの書物から破り取られたような、不気味な赤いインクで文字が書かれた紙切れが紛れ込んでいた。ニノホは少女にノートを返す間もなく、キャンプを去ることに。一方、「影の犬」の伝説が残るペガウ犬国で、密猟者として身を隠して生きる少女・ノチセは、親代わりである僧侶・サドホミから、ある人物を狙った狩りを依頼される。標的がいる街を訪れたノチセは偶然ニノホと遭遇するが、その先には思いもよらない出来事が待ち受けていた――。「火狩りの王」著者が描く新たな冒険ファンタジー、第2弾。
美しくない青春
『美しくない青春』
作 小手鞠るい
出版社:さ・え・ら書房
発売日:2025年8月26日
11歳になったその年、戦争が始まった――
美しい時間、美しい言葉、愛する者たちを、
戦争は容赦なく、うばっていく。
それでも彼女は、心の中の「美しいもの」を守りつづけた。
詩に思いをきざみ、未来へつなごうとした。〈あらすじ〉
物語は、ある女性が日本から届いた段ボール箱をひもとくことから始まる。中に入っていたのは、名もなき女性詩人の青春の思い出の数かずだった――
「誰からも愛されますように」という母親の願いのとおり、立花ミモザはみなに好かれ、自由で、めぐまれた少女時代をすごしていた。しかし、ミモザの日常は、しだいに戦争の影におおわれていく。昼はもんぺ姿で農作業、夜は大好きな読書もままならず、空襲におびえる日々。父親は家族に暴力を振るうようになり、ミモザの「美しいもの」は、次々に汚され、うばわれていく。
詩人になりたい、無念なこの思いのたけを、わたしは詩に書きたい――戦争の時代にあっても、心の中の美しさを守りとおした少女の青春の記憶。著者が敬愛する詩人・茨木のり子さんへのオマージュを込めて描いた、「詩人」と「戦争」の物語。
さ・え・ら書房
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